2013年11月12日火曜日

一人三役



一般的にアメリカはスペシャルで、日本はジェネラルであるといわれている。これはどういうことかというと、日本人は一人で全ての仕事をこなすが、米国人は一つの事柄において、分担化して物事を進めていくからだ。

この分担化は、より専門的に合理化を計ったものであるが、この制度に不慣れな日本人は、時としてまどろっこしく感じてしまう。

例えば日本で病院に入院すると、自分の病状のことは主治医に尋ねれば全てがわかる。ところが、アメリカの病院では事情が少しばかり違ってくる。自分の担当医であるからといっても、専門外のことは一切コメントしてくれない。

日本では血圧測定も採血も注射も、そして入院患者の薬の管理まで、その病棟の看護師全員が、医師の指示に基づいて患者に施すことができる。けれども、アメリカでは仕事が細別化されていて、それぞれの役割が決まっている。従って自分の受け持ち以外のことには、一切立ち入ることは出来ないのである。
 
メルローズの高級家具店で買い物をした際に、エレガントなショー・ルームで、心だての良い男女のセールス・パーソンから懇切丁寧に接待していただいた。

当然ながら、ぼくは気分を良くして帰宅した。数日後、家具を運んできた配達係りの、ギャングのような風貌と言動に驚いた。まず、リーダー格の男が、ぼくの顔を見るなり、いきなり愚痴をこぼした。

こんなに重たい家具を二人だけで運ぶのは無理だぜ、とぶちまけた。従って、その辺でたむろしていたメキシカン二人を、金を出して雇ってきたというのである。彼らは終始仏頂面で、家具を所定の位置に運んでもらう間中、ぶつくさと文句を並べ立てていた。

日本ではとうてい考えられないことであるが、このようなことはアメリカでは間々あることである。一流ホテルや有名デパートを利用すれば、最初から最後まで、行き届いたサービスを受けられるなどと思って安心してはならない。

個人主義はあくまでも個人プレーであって、アメリカにおいては全体的な進歩と調和は望めそうにもない。その点、より良い品とサービスを顧客に提供するために、日本の企業は徹底した社員教育に力を注いでいる。

定宿にしているLAのホテルで、コンシェルジュの日本人女性の働き振りを見て、彼女を是非わが社に引き抜きたい。と言った日本企業の重役がいた。

コンシェルジュの女性は、次から次にかかって来る三本の電話に対応しながら、デスクの前に立っている旅行者の質問にも笑顔で応えている。しかも宿泊客への伝言やスタッフへの連絡メモを書きながら、隣のフロント・デスクともやり取りをしていた。

コンシェルジュの女性の対応振りは、まず笑顔が絶えない。そして機敏で何よりも誠実であった。このような一人三役の芸当は、とうていアメリカ人には期待出来ないことである。

1 件のコメント:

  1. アメリカ人 わが社でも働いてるけど オーガナズできないよね。それがまず第一に感じる。アメリカの高卒ではこんなもんでしょうと  ただ救いはまじめと正直  この2つで十分と言えるでしょう。
    わが町に有名なステーキ屋がある むかしフロントにいた女性だけど お客の名前と顔を覚えててウエイトレスが呼びに来ると あの方と教えるのには驚いた 今ではマネージャーをやってる。

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