2014年6月4日水曜日

ジャワ・カレー



小学校三、四年生のころ、今は亡き父と二人で大阪から京阪電車に乗って、京都の神社仏閣巡りをすることが楽しみであった。
 
毎回、京都で夕食を済ませてから帰阪することになっていたので、父はよく、四条川原町にあったカレー料理の専門店『ジャワ』に僕を連れて行ってくれた。
 
このレストランはカレーライスのフルコース・メニューがあり、前菜とスープの次に魚、または肉料理がサーブされる。その後で、いよいよメインのカレーライスの登場となる。
 
コースは四段階あって、父はいつも下から二番目の八百円のコースを注文した。僕はカレーといえばインドだと思っていたので、ジャワ・カレーといわれてもしっくりこなかった。
 
だが、それ以来、父と一緒に何回かこのレストランに通うようになった。それは言うまでもなく、『ジャワ』のカレーの味にすっかり魅了されてしまったからだ。最初に食べたカレーがあまりにも美味しかったので、僕は本当に頬っぺたが落ちてしまうのではないかと心配したぐらいである。
 
それから何年か経って、ハウスのジャワ・カレーのコマーシャルがテレビに流れるようになった。京都の『ジャワ』とはすっかり疎遠になってしまっていたが、今度は母が家庭でジャワ・カレーを作るようになった。母が作るジャワ・カレーの中身は、入念に炒めた狐色の玉葱をふんだんに使い、カレー用の肉の代わりに、挽肉がどっさりと入っている。
 
出汁のよく効いた和風ジャワ・カレーは、とっておきのおふくろの味なのである。

渡米後しばらくしてカレーを作ろうとしたが、日系のマーケットで取り扱っているルーの種類があまりも少ない。

また、レストランで食べるカレーライスの味は、画一的で味に深みがない。本当のうまうましい「日本風」のカレーは、日本でなければ絶対に味わえない。


1 件のコメント:

  1. 偶然、カレーを検索してたらこれを見ました。私も小学生の頃亡き父によく連れて行ってもらいました。当時のカレーとは全く違う食べ物だと感じた記憶があります。その後、木屋町のとんかつ一番の方へ食べに行くことが多くなって、いつ閉店したかは記憶にありません。懐かしい話です。

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