2011年12月1日木曜日

ご愁傷様


数年前に味の分からない田舎者の連中と、総勢7人でパリまで仕事で赴いた。パリに着くなり、その日のディナーは現地の日本の居酒屋。

来る日も来る日も、和食と中華料理の繰り返し。同行したボスが、アメリカかぶれのフランス嫌い。
「いやはや、たまらんわー」僕は嘆いた。

僕は本格的なフランス料理を食べたことのない者を募った。参加者は僕を含めて5人いた。
早速レストランを選んで予約した。そもそもこれが間違いの始まり、なにしろ田舎者、マナーが悪から顰蹙(ひんしゅく)を買う。英語が話せないから僕が料理の説明、給仕とのやり取り、どうでもよいことまで質問をする。酔いが回ると大きな声で話す。僕は料理を味わう暇がない。

「こんな高級なレストランや、締めくくりにお茶漬け食いたいわ、ちょと、新井さん。いつもきはるにいちゃんに聞ーてぇ~なー」

このアホが!てぃてぃてぃ!!聞くまでもない。僕は鶏冠(とさか)にきた。僕は彼をからかってやろうと思った。給仕を呼んで適当に喋った。

「お茶漬けできますってよ、糠漬けに、味噌汁もありますって」
「本当!」彼の嬉しそーうな顔。暫くたってから僕は席を離れた。

僕が席に戻ると彼に告げた。
「あいにく今日は、材料が整いませんのでできませんと言われたわ、ご愁傷様」


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