2011年12月19日月曜日

かんぴょう巻メモリー

30年前、服部喜美さんと教会で知り合った。服部さん住まいは、教会の近隣のコンドミニアム。よく遊びに行ったものだ。往時の服部さんは68、9歳。服部さんのコンドは、老人たちの憩いの場だ。

そこへ来られていた津田さん(92歳)から、興味深い話を聴いた。津田さんが若かれし頃、物陰に隠れていた長髪の青年が、津田さんに無言で手紙を手渡して、その場から逃げるようにして立ち去った。津田さんに恋文を渡した青年は、なんと芥川龍之介であった。

服部さんとは、色んなところに足を運んだ。さしずめ最も多く訪れたのは、ソーテルの『秀鮨』だ。服部さんはかんぴょう巻しか食べないのに、僕に握り鮨をいつもご馳走してくださる。

服部さんのご主人は、米国トヨタ初代社長、ハーバード大学卒の秀才。後に、白人女性と恋仲になってとは、服部さんから伺ったこと。

今日も服部さんと『秀鮨』に赴く。相変わらず服部さんは、かんぴょう巻しか食べない。そんな彼女を横目に、トロ、甘えび、うに、みるがい、貝柱……僕は機関銃のごとく、次から次へと注文して平らげる。

若いころは、かんぴょう巻に目もくれなかった。ところがどうだろう、50歳を過ぎた頃からかんぴょう巻が好物になった。

かんぴょう巻を食べる度に、今は亡き茶目っ気たっぷりの服部さんのことを思い出す。服部喜美さん、有り難うございました。

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