2011年10月3日月曜日

堕落した神主

私の年長の友人に、目の不自由な方がおられた。有名な神社の長男である。何故、目が不自由かと言うと、物心がついた頃から、少年期にかけて陰鬱な過去があった。

どろどろした人間関係が原因である。幼いころから友人は見てはならない物を、幾度も見てきたのである。

父の神主は遊び人で、本妻以外に妾(めかけ)を何人も養っていた。妾によっては同じ家に住み込み、境内の離れに住まいがある妾もいれば、京都に二人、東京にも一人いる。

友人は幼い頃に、父と妾の濡れ場を見てしまった。嫌がる母と妾と三人で父は寝る。時折、宴会で裸の妾を何人もはべらせて、どんちゃん騒ぎをする。

友人が九歳の時、一人で風呂に入っていたら、父の妾が突然入って来て友人の陰部をもてあそんだ。妾同士の取っ組み合い、ののしり、陥れ、母は何時でも耳をふさいでいる。母の苦悩に満ちた顔を、来る日も来る日も友人は見続けた。母の笑顔を見ないままに、友人は思春期を迎えた。

叔父と伯母と父の、財産分与に関するののしり合い。幼い頃からいざこざが絶えなかった。まるで家の中は地獄であった。神経質で過敏な友人は十四歳の折に、自分の眼(まなこ)を千枚通しで突き刺した。

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