2011年9月25日日曜日

眼 巣(がんそう)

壁にへばりついた大きな眼球 
俺を睨みつけている
俺は両手で顔をおおい
机の上にうなだれた
すると暗闇の深淵から
大きな眼球がおれを睨む

眼球の数はどんどん増えていき
天井と壁一面に
眼球の形をした虫の群れがへばりついている

指の先が眼球 鼻の穴も眼球
頭 耳 口 舌 俺のからだは 眼球だらけ

眼球はざわめく 俺の体の上で
眼球はころがる 俺の心の中へ

俺は自分の眼球をえぐりつぶした
奈落の底へ転落しても 眼球が現れてざわめくのだ
俺は眼球だけの世界に 今生きている

眼球の群れが
せっせと運んで来る甘い密をむさぼり
俺はしたたかに
とてつもなく巨大な瞳孔へと変貌を遂げる

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