2012年5月28日月曜日

神戸


僕の若かれし頃、神戸の街を当てもなく散策するのが好きだった。中でもトアロードの坂道を登って、北野町界隈を散策するのが定番となっていた。トアロードの途中『デリカテッセン』に寄って、時折スモークサーモンのサンドイッチを購入した。

山の手にある北野町は、まるで欧州の片田舎を歩いているようだ。1977NHKの朝の連続ドラマ『風見鶏』以降、北野町は異人館がブームになり、その後、観光化されて人の波が押し寄せるようになった。

以来、静寂さが無くなり、西欧の情緒が薄れ果てていった。僕は興醒めするばかりだ。11年前に帰国した際、江美子と一緒に北野町を訪れてみた。江美子とロマンチックなひと時を過ごそうと思っていたのに、正に人の洪水。僕は白けてしまった。

35年前に、一度訪れた『北野クラブ』へ江美子を案内した。『北野クラブ』はフランス料理のレストランで、江美子と共に午餐のひと時を過ごした。往時のメニューは、ロブスター・ビスクとフォアグラのテリーヌ。メインはススキのポトフ。

食後は、六甲山にケーブルで上った。ケーブルの駅の近くに、野生のイノシシが出没。野生にしては人懐こい。展望台の上で神戸の街並みを眺めながら、江美子といつまでも、いつまでも寄り添いあった。

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