2012年1月13日金曜日

歓 喜

ジョイが2歳の時、『アンパン・マン』(原作・やなせたかし)のビデオを観ていて、テーマソングに心が惹かれた。

♪ 何のために生まれ 何をして生きる/わからないまま終わる そんなのは嫌だ/何が君の幸せ 何をして喜ぶ/わからないまま終わる そんなのは嫌だ

この歌詞は明らかに人生とは何かを問うている。「悩むかぎり希望を抱け、人間の最高の幸福は常に希望、希望である」このようなことを語ったのは、確かドイツのシェーファーという詩人であったと記憶している。

世間では経済恐慌の果てに、テロへの懸念が高まり、連日イラク戦争のニュースが飛び交っている頃であった。この近年最大の景気低迷の煽りを受けて、リストラ等で失職する者や闘病生活の渦中にいる人々は、苦渋の日々を強いられていることであろう。

詩人、坂村真民が《試練》をテーマに詩を書いている。
去年の暮から/今年にかけて/病気が続いた/妻が病み/真美子が怪我し/梨恵子が起きたら/佐代子が寝込んだ/うちつづく不幸は/私をぐらつかせ/悪魔は私をそそのかす/尊い幾千の言葉も/苦しむ者を前に見ては/瓦礫(がれき)のように崩れ去ろうとする/この弱さよ/この不信よ/ああいつの日かこの試練に/心から手の合わされるのは

フロイトは確言している。「力は、あなたの弱さの中から生まれるのだ」と、見えない、聞こえない、話せない、三重苦のヘレン・ケラーが、「言葉」というものがあることを悟った晩、「ベッドの中で私は嬉しくて、嬉しくて、この時はじめて早く明日になればいいのにと思いました」と、希望に胸が膨らんだ。

将来、ジョイが困難に陥った時、如何なる状況においても、感謝する気持ち(喜び)を忘れないようにと、思いを込めてJoyと命名した。ミドルネームはベートーヴェンの『第九』、シラーの詩より「歓喜」と授けた。

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