2012年1月28日土曜日

鶏(ニワトリ)

ジョイが幼い頃、童話『桃太郎』を読み聞かせている時、つと考えてしまった。いつか娘から、犬、猿、キジが桃太郎のお供をした意図を訊ねられたら、何と説明しようかと思った。

定かではないが、案ずるに犬は門を守り、猿は人に近く、鶏は時を知らせるという謂れが真相のような気がする。

鶏がキジに替わった理由は、鶏はキジ科であることと、室町時代まで、鳥類の中でキジが最も高貴なものとされていたからである。

往時の料理に関する古文書を閲覧していると、美味しい食べ物のことを『美物』(びぶつ)という言葉で表現されている。『枕草子』や『徒然草』、そして日本最古の料理書『厨事類記』には、キジの肉を称揚している箇所が幾つかある。

アメリカ産のブロイラーが日本に輸入されたのは、1960年以降のことだが、その頃から国内でもブロイラー養鶏が始まり、一般家庭で鶏を食用とする習慣が広まった。

速成肥育のブロイラーは肉に締りがなく、旨味のつくひまがないから不味である。当然ながら、舌が肥えている日本人には飽きられてしまう。当地の日系マーケットでも、地鶏や地卵がよく売れているようだ。

雄鶏の擬声は「コケコッコー」であるが、当地では「コックアドゥードゥルドゥー」、チャイナタウンへ行くと「ウォーウォー」と鳴いている。ついでにフランスでは「コクリコ」、ドイツは「キケリキ」と鳴く。

国によって、こんなにも音韻観念が違う。子供に物語を朗読して聞かせる折にも、真心から伝えようとしないと心に響かない。今夜は久方振りにプーシキン原作の絵本、『金のニワトリ』を江美子に朗読してもらう。そして夕食は親子丼だ。毎月28日はニワトリの日。

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