2013年1月30日水曜日

青い太陽  蔵原伸二郎


へんに 明るい
大海辺の 砂浜だが
波たちは死んでいる
そこに
三つのドングリが
ねそべっている

みんな
苦悩と不安の
固いからを かぶり
やっとこさ
呼吸している

無限のように
ただ吹くばかりの
風の中で
もう何年か こうして
やつらはもの言わないのだ

水平線のむこうの
そのまたむこうの果に
青い太陽が
豆のようにでている




この詩の原題は『どんぐり』であったが、後に改題して『青い太陽』となった。それほど難解な詩ではないので、改題した作者の意図が伺いやすい。

例えば『どんぐり』の題で四連目を省いて読んでみると、構成力は巧みであるが、心象風景に至るまでの斬新なイマジネーションが浮かんでこない。

この詩が訴えているのは、やはり四連目であり、『青い太陽』が重要な意義を示している。詩人は天壌無窮の非情に、圧迫と苦しみを覚えている。即ち豆のような青い太陽が不安と苦悩の象徴であり、ドングリのそれと対比させながら、現実と無限への、永遠に変わることのない「寒心」を表白している。

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