2014年8月27日水曜日

恥と心の病                  

1990年代に、リトル東京のセカンド・ストリートで、日系人らしきホームレスの青年が、日系の初老の男性に、小銭を無心している場面を垣間見たことがある。
 
初老の男性は青年に向かって、「働け、働け!」大きな声を荒げた。

青年は無言でその場を立ち去った。その光景を見ていて、直感的に頭に浮かんだことがある。

多分、初老の男性は、怠け者は同胞の恥であると思ったに違いない。確かに、怠慢であることは感心しない。けれどもホームレスを一方的に、怠け者と決めつけるところに問題があると思う。

ホームレスになった者の経緯は様々であろうが、何らかの精神障害かドラッグ依存に陥っているホームレスが大半を占めている。

とある場所へ赴けば元留学生を始め、日本人のホームレスがたむろしている。ドラッグ中毒や精神障害、更には働こうとしないために生活苦に陥り、助けを求めている日本人が思いのほか多い。

彼らの実態が如実に表面化しないのは、恥をさらしたくないという日本人特有の精神構造にあるのだろうか。

世間体ばかりを気にしている日本人について、ルース・ベネディクトは「恥の文化」という論理を『菊と刀』の中で展開している。日本人にとって、恥も外聞もない行動に出ることは、極めて勇気のいることである。

さて、このような状況下で、在米日本人が神経症やうつ病など、心の病に悩んでいるケースが増えつつある。日本人の精神科医は、カリフォルニア州には一人とも二人とも言われている。

日本人を診察する精神科医は、日本の文化背景や習慣などに精通していなければならない。事細かに日本人気質を熟知していなければ治療の施しようがない。

急増する心の病。日本政府が支援してくれたらならば、いくらかは状況が良くなるはずだ。
 


1 件のコメント:

  1. 大馬鹿紋2014/08/27 9:28:00

    フ〜ン それなりの納得もできるし それなりの意見もあるけどネ!
    ただ本人しかわからないとしか言えない。

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