2013年8月12日月曜日

プレ・サレ


ここは巴里ノくりゅーる
落書きヌーヴォーの路地を入ると、左に小さなサロン・ド・テがある
お店の中に入って二階へ上がると
三角形の
それはそれは小さなシャンソニエがあった
アコーディオン弾きは
この場所を パユテパユテ? パチュパチュ? パティーパユ? 
と、呼んでいた
潮騒のように息を弾ませて
階段を駆け上がって来た若い女は
熟した熱帯フルーツの体臭を むざふぁっふあ むずふぁっふあ
男たちの鼻腔をコーラルピンクに染めてから ムチゅりーら 歌いはじめた

♪ プレ・サレ プレ・サレ プレ・サレ 男も女もみなヒツジ
ノルマンディーのプレ・サレ 早春の風 レンヌ モン・サン・ミッシェル
わたしはヒツジ プレ・サレ プレ・サレ いつだって潮の傍にいるわ

館の舞台が跳ねてから
ぼくはモンパルナスのマリア
ラムチョップを抱きしめた
若い肉と血だ
熱い汗が滴り落ちる匂いだ
喰らいついたのだ
食われたのだ
ぼくもプレ・サレ
女もプレ・サレ
女にパルファン振りかけて
クンぷんぷんぷん
喰らいつく
クンぷんぷんぷん

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