2013年2月27日水曜日

本物を捜せ 


婿養子があまりにだらしがないので、ついに業を煮やした先代が、次女と三女にも暖簾(のれん)分けをして代々続く蒲鉾(かまぼこ)屋、『丸蒲』の看板を継承させることにした。 
 
ところが身代まで平等に分配してしまったために、長女は激白、憤慨して「元祖・丸蒲」を強調。顧客獲得に執念を燃やした。

長女の振る舞いを察知した次女は、早速、「本家・丸蒲」を旗揚げし、三女も負けじと「本舗・丸蒲」を名乗り上げた。

小田原における三姉妹、『丸蒲』の老舗暖簾争奪戦が始まった。「元祖」、「本家」、「本舗」、一体本物の『丸蒲』の味はどこの店なのか、町の名士たちの意見も分かれて、顧客は分散してしまった。

広辞苑の解説を記しておく。
元祖・・・一家系の最初の人。ある物事を初めてしだした人。創始者。

本家・・・本宗たる家筋、家元、宗家。分家からみてその別れでたもとの家。

本舗・・・本店。指定商品を製造、販売する大元の店。

一番気にいった蒲鉾の味が本物の店である。はんぺんの味は「元祖・丸蒲」。竹輪は
「本家・丸蒲」。なると巻きはなんと言っても「本舗・丸蒲」の味が一番。三姉妹が力を合わせれば、『丸蒲』の蒲鉾の味は鬼に金棒となる。


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