2014年1月28日火曜日

断腸

巷では悲しいニュースが後を絶たない。幼い子供の命が奪われる事件や、何の罪も無い子供たちが、テロや戦争の犠牲となって死んでいくニュースを耳にすると、胸がキリキリと痛む。だが、心がうずくのもつかの間、人間は日常の雑事にかまけて、他人の災いは直ぐに喪失してしまう。

悲しみのどん底に突き落とされると、腸がちぎれるほど悲しくなる。そして自暴自棄に陥る。「断腸」とは、子を亡くして悲痛の末に死んでしまった母猿の腸が、細裂(こまさ)かれていたという故事に由来する。

他者のことでも自分のことのように「断腸」の思いに駆られて、行動に出たのはマザー・テレサだ。「愛の反対は憎しみではなく、無関心」でいること。マザー・テレサの金言は、先進諸国の人々に対して警鐘を乱打したが、その言葉にさえ人々は無関心であった。

次から次へと新しいニュースが飛び込んでくる。そして忘れられる。しかし地球のどこかで、貧困、病、紛争に苦しんでいる人々は絶えない。マザー・テレサのように、継続して無償の愛を施すことは至難だが、彼女が遺した教訓から、何らかの糸口を見出せるのではないだろうか。

「私たちは大きなことはできません。ただ、小さなことを大きな愛をもってするだけです」。
世界の飢餓、貧困、災害、紛争に苦しむ子供たちの、支援活動をおこなっているワールド・ビジョンは、世界中の人々に呼びかけている。

「一人で何もかも変えることはできないけれど、一人を助けることから、世界は変わっていきます」。ワールド・ビジョン www.worldvision.jp/ では、チャイルド・スポンサーシップを募集している。

先般、かつての僚友であった君からメールが届いた。三年前に高校生の長女を白血病で失い。この度、高校を卒業したばかりの長男を交通事故で亡くしてしまった。親にとって、子に先立たれることほど悲しいことはない。さぞ断腸の涙を流したことだろう。


約一年後、受話器から聞こえてきた、君の言葉が忘れがたい。「悲しくて、悲しくて、身も心も張り裂けそうだったけれど、どん底に突き落とされて聖書を読んでいると、真実(まこと)の愛が見えてきたよ」。


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