2016年3月24日木曜日

セーヌ

セーヌ河はたゆたうと流れて
どこまで沈みゆくのか

ぼくが見たセーヌは
真冬の明るいパリの街を
清涼な大気の眼で幾重にも描かれていた
春のようにまめやかしく
夏のように颯爽とおもてに飛び出したくなるような
秋の静寂がジュルリ― 愁いがプシュリー
星屑を降らしている

セーヌは巴里を愛した
巴里の街もセーヌを愛した
パリに住む人々も
パリの街を訪れた男も女も
そして
ぼくのような流浪(さすらい)人でさえ
巴里に魅せられて
セーヌにたゆたうと流れて 沈んで
心を奪われる

モンマルトルの丘の絵かきたちも また
たゆたうとセーヌに流れて沈んでゆく
きょうも巴里の空の下で
エトランゼの夢を描きながら 歌いながら


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