夜明け前
へイデン・カルースの詩集を読んでいたら
突然おもてに飛び出したくなった
コーヒー・ショップへ行きたくなった
ベーコンにハッシュドブラウン
それから
スクランブルド・エッグかサニーサイドアップか
ボイルド・エッグかオーバーイージーか
一体どの料理方法が良いのだろう
僕は考えた
一生懸命考えて 考えて 考えた
僕はいつまでも迷っている
まだ眠っているワイフとジョイ
鯛介に桃三郎も起こして
静かで空気の澄んでいるコーヒー・ショップへ出かけましょう
へイデン・カルースの詩と一緒に水浴びをしていたら
早急にコーヒー・ショップへ行きたくなった
けれども なかなか行動には移せない
僕が黙っていると
ウェイトレスは卵の調理法をぼくに尋ねるだろう
「スクランブルド・エッグ オア サニーサイドアップ 」
僕は無言のままテーブルの前で鎮座している
一体どれを注文すればよいのだ
僕は先ず温かい紅茶をすするだろう
それからハッシュドブラウンは必ず注文する
だがハムかソーセージかベーコンか
卵焼きと同様にぼくには選択することができない
ああ 僕自身
今ここで生きていくべきか死ぬべきか
呼吸をするのかショット・ガンで心臓をぶち抜かれるのか
愛されているのか もてあそばれているのか解らない
おいウェイトレス
コーヒー・ショップの客ども
通りから中を覗き込んでいる偽善者よ
テレビに映っているニュース・キャスターめ
ぼくの胸元ばかりを じろじろと見るんじゃない
見るな
見るなって言っているだろう
ぼくは卵料理をオーダーできないけれど
キッチンから鋭利な肉切り包丁を持ち出してきて
自分の歴史を切り刻み
包丁を口腔に突き刺して首筋を貫通する
鮮血は食道へ垂れ流れて
紅蓮(ぐれん)地獄の形相で白まなこを剥き出して死んでしまうのだ
そこで日系のウェイトレスは
僕が目玉焼きを食べたかったことに
やっと気づくのさ
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