春雨はエルサレムの乙女のささやき
上弦の月は鴇(とき)色に染まり
黒真珠の精は
星の彼方に瞬いていた
いつぞや あなたと過ごした満ち潮の丘は
追憶のしじまで 深い眠りについている
ぼくは再び探り当てるだろう
白い雲に隠れて
楚々と咲き誇るブーゲンビリアを
そして
ああ
欲しいのはペガサスだけ
情愛のこもったあなたの瞳は
南海の夕なぎが招いた蜃気楼
ぼくを引き寄せる可憐なあなたの指は
雪柳のようにたおやかだ
ぼくは一刻も早く
山葡萄の房のように瑞々しくてやわらかい
ペガサスの胸に顔をうずめたい
その前にぼくは
あなたの吐息に鞭打たれて
自分の心臓を
自分の足で蹴り上げるだろう
・・・・・・何もいらない
欲しいのは
欲しいのは
君
だけ
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