初めてあなたの手にふれたのは
サンタモニカの海岸通り
陽光に満ちた手つなぎの径(みち)は
追憶のかなたでまどろんでいる
初夏の夕べに
ジャカランダの木の下で佇んでいると
きょうも あなたのことばかりが
洋梨の香りをたずさえて 潮騒のようにさわぎたつ
海ツバメの羽毛のように身も心もときめいて
僕は大空へと舞い上がる
ああ あなたに逢いたい
僕の鳩尾(きゅうび)は
晩秋の回廊の陰で朽ち果てた
北風にふまれる茜葉のように
静かに燃えるだけ
青い月の光をおびて
あなたの愛くるしいしぐさは
水煙にかげるナイルのしらゆり
遠くから見つめていると
あなたの甘味な吐息を
僕の口もとにおぼえる
ああ するとどうだろう
僕の胸はいたくはりさけて
ビオラの弓弦(ゆづる)で
熱く げきれつに弾きうたれる
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