ギィョーム・アポリネール/堀口大学 訳
不安よ、おお、私のよろこび
お前と私は一緒にゆく
ざりがにが進むように、
後へ、後へと。
誰でも、不安になどなりたくはない。けれども、全てに満たされていても、人間の心というものは不安に陥ることがある。
アポリネールは煩悶の果てに、不安は私のよろこびであり、人生のパートナーであると語っている。だが、「不安」というパートナーは臆病で用心深い。そして些細なことで色をなす。
自暴自棄に陥ってしまった詩人は、後ろへ、後ろへと進んでいる吾が魂を、黙認するしか手立てがないのである。
間もなく、マリー・ローランサンとの恋が破局を迎えようとしていた。
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