結婚してまもなく、家人は朝餉に雑炊を作っていた。最初のころはご飯の量が多すぎて、おじやの状態になっていた。
「一合雑炊、二合粥、三合飯に四合寿司、五合餅なら誰でも食う」と言われているように、雑炊が最も飯の量が少ない。このことわざは、米を節約するための目安を表したものである。
雑炊とおじや(こながきとも呼ばれている)の違いは、おじやとは、もともとは雑炊のことをいう女房言葉であった。
飯を水洗いして表面の粘りをとり除いてから、さらりと仕上げたものが雑炊。水洗いしないものがおじや。
てっちり(ふぐちり)を食した最後の雑炊は、淡泊で上品な滋味が五臓六腑しみわたる。その上をいくのが〇鍋(まるなべ)こと、すっぽんだ。
京都市上京区にあるすっぽん料理『大市』は、年季の入った信楽焼の分厚い専用土鍋を使用。コークスを使った高温での調理が、素材の味を最高潮に引き立ててくれる。
〇鍋を味わった後で、すっぽんスープで雑炊にして餅と鶏卵をとじたものを入れる。その醍醐味ときたら、素朴にして豊穣そのものの味覚で心が豊かになる雑炊である。
わが家の定番雑炊は、塩サケとキノコの雑炊。まず、土鍋か陶器行平鍋を用意する。昆布とかつおのダシに中に、薄口醤油、塩麹、隠し味としてミソを少々入れる。
沸騰したら、洗ったご飯を入れる。再び沸騰したら弱火にして、ころあいを見計らって溶き卵を入れる。火を止めて蓋をして蒸らす。
雑炊を器に盛り焼き海苔をまぶしてできあがり。ポン酢をかけていただく。
しゃぶしゃぶの最後にも身体が温まる雑炊。ビーフ、ポーク、シーフード、野菜。それぞれの旨味成分が出ているから、栄養満点で佳味至極。しょうが汁を入れたら風邪予防にもなる。
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