林檎はかつて静物ではなかった
育って 年老いて 腐食して ミイラになる
林檎はミイラとなって初めて静物となる
何千年経っても変わらない姿
美術館にある林檎の油彩には
汚れた陰翳(いんえい)が幼く 鈍色(にびいろ)に映えていた
2011年12月9日金曜日
2011年12月8日木曜日
ESSOのガソリンスタンド 小野十三郎
ドラセナの鉢植のそばで
毒液みたいな
コーラを飲んでいた。
ガラス越しに
野末の太陽が見える。
いびつな冬の太陽は
吹きちぎれるような炎を噴いている。
とまったスポーツカーから
パタンと勢よくドアを閉めて
赤ジャケツ、黒眼鏡のあんちゃん一人降りてくる。
世界を背に
肩をゆすって
おれの方にやってきた。
「西の京へはこの道まっすぐか」
うなずくと
「ええんだとよう」
車の女に合図した。
女も黒いサングラスをかけている。
また、パタンと大きな音がした。
太陽もろとも
車は唐招提寺へまっしぐら。
山野辺の道に
ガソリンスタンド一つ。
小野十三郎は「短歌的抒情の否定」によって、現代詩の成立を唱えた詩人として有名である。生前、小野さんは人間を描くのが苦手であると語っておられたが、『ESSOのガソリンスタンド』に登場する「あんちゃん」などは、実にリアルに描かれている。
晩年になって、小野さんは詩を書くこが益々愉しくなってきた。と語っていたが、若い頃からスケッチ風の詩作を試みていたようだ。その代表格として、『ESSOのガソリンスタンド』を取り上げてみた。
平易な詩なので解説は不要である。小野さん独特の詩のリズムが、読む者の心を捉えてはなさない。何の変哲もない一状況のスケッチである。この詩の面白さは作者である「おれ」と、「あんちゃん」との対比にある。「おれ」は詩人であるのだが、無政府主義者の小野さんらしく、文脈には反社会的な「気配」が浮遊している。
最後の二行は落ちがついているみたいで、個人的にはあまり感心しない。だが、これも小野さんの遊び心の表れなのかもしれない。
小野さんと最後に酒を酌み交わしたのは、詩人、池田克己の未亡人が営んでいた天王寺(大阪)の場末にある屋台であった。また、近隣にある飛田遊郭で、小野さんを囲んで座談会をしたことが、ついこないだのように思える。
1996年10月8日、日本詩壇の長老、小野十三郎歿、享年93。
毒液みたいな
コーラを飲んでいた。
ガラス越しに
野末の太陽が見える。
いびつな冬の太陽は
吹きちぎれるような炎を噴いている。
とまったスポーツカーから
パタンと勢よくドアを閉めて
赤ジャケツ、黒眼鏡のあんちゃん一人降りてくる。
世界を背に
肩をゆすって
おれの方にやってきた。
「西の京へはこの道まっすぐか」
うなずくと
「ええんだとよう」
車の女に合図した。
女も黒いサングラスをかけている。
また、パタンと大きな音がした。
太陽もろとも
車は唐招提寺へまっしぐら。
山野辺の道に
ガソリンスタンド一つ。
小野十三郎は「短歌的抒情の否定」によって、現代詩の成立を唱えた詩人として有名である。生前、小野さんは人間を描くのが苦手であると語っておられたが、『ESSOのガソリンスタンド』に登場する「あんちゃん」などは、実にリアルに描かれている。
晩年になって、小野さんは詩を書くこが益々愉しくなってきた。と語っていたが、若い頃からスケッチ風の詩作を試みていたようだ。その代表格として、『ESSOのガソリンスタンド』を取り上げてみた。
平易な詩なので解説は不要である。小野さん独特の詩のリズムが、読む者の心を捉えてはなさない。何の変哲もない一状況のスケッチである。この詩の面白さは作者である「おれ」と、「あんちゃん」との対比にある。「おれ」は詩人であるのだが、無政府主義者の小野さんらしく、文脈には反社会的な「気配」が浮遊している。
最後の二行は落ちがついているみたいで、個人的にはあまり感心しない。だが、これも小野さんの遊び心の表れなのかもしれない。
小野さんと最後に酒を酌み交わしたのは、詩人、池田克己の未亡人が営んでいた天王寺(大阪)の場末にある屋台であった。また、近隣にある飛田遊郭で、小野さんを囲んで座談会をしたことが、ついこないだのように思える。
1996年10月8日、日本詩壇の長老、小野十三郎歿、享年93。
2011年12月7日水曜日
小政
2011年12月6日火曜日
鎮魂歌
2011年12月5日月曜日
サタンの思う壺
或る統計によると、クリスチャンは肥満が多いそうだ。アメリカ人の6割が過体重か肥満。聖書の九つの御霊の実(ガラテヤ5:22)の最後に「自制」がある。
この自制心が欠けると、サタンの思う壺になってしまう。アメリカの小学校で支給されるランチはファーストフード、即ちジャンクフードだ。
朝食抜きの子供たちが多い中で、朝からピザ、フレンチフライを食べてくる者も。今朝の新聞の記事に、ピザは野菜であると認識しているアメリカ人に驚愕してしまった。
アメリカの家庭の食事に関しても、冷凍食品、缶詰類、加工食品が多い。アメリカ人はファーストフードと炭酸飲料水の中毒だ。炭酸飲料水の1缶の中に、砂糖が大さじで7杯も入っている。
おまけにデザートで出てくるケーキは、日本のケーキよりも10倍甘い。一切れが3倍ほどある。毎日ファーストフードを食べて、炭酸飲料水を飲み、強烈に甘いスイーツを食べる。
アメリカ人の60歳以下者は、上記の食生活を7割方続けているだろう。糖分過多よる落ち着きのない子供たちが後を絶たない。生活習慣病が子供たちに蔓延している。
政府も真剣にこの問題と対峙するが、遅々として改善されてはいない。正にサタンの思う壺だ。
この自制心が欠けると、サタンの思う壺になってしまう。アメリカの小学校で支給されるランチはファーストフード、即ちジャンクフードだ。
朝食抜きの子供たちが多い中で、朝からピザ、フレンチフライを食べてくる者も。今朝の新聞の記事に、ピザは野菜であると認識しているアメリカ人に驚愕してしまった。
アメリカの家庭の食事に関しても、冷凍食品、缶詰類、加工食品が多い。アメリカ人はファーストフードと炭酸飲料水の中毒だ。炭酸飲料水の1缶の中に、砂糖が大さじで7杯も入っている。
おまけにデザートで出てくるケーキは、日本のケーキよりも10倍甘い。一切れが3倍ほどある。毎日ファーストフードを食べて、炭酸飲料水を飲み、強烈に甘いスイーツを食べる。
アメリカ人の60歳以下者は、上記の食生活を7割方続けているだろう。糖分過多よる落ち着きのない子供たちが後を絶たない。生活習慣病が子供たちに蔓延している。
政府も真剣にこの問題と対峙するが、遅々として改善されてはいない。正にサタンの思う壺だ。

2011年12月4日日曜日
2011年12月 冬 俳句1
1. 鮨あれば雅之の日と思うべし
2. 真夜中に木枯らしピープー師走かな
3. クリスマスサンタクロースの多忙な日
4. 夕餉には焼きそば決めしポロロコに
5. 湯豆腐に鱈の身入れる湯鱈腐や
6. 熱燗に肴湯豆腐しばれる夜
7. ジョイ空手僕は散歩に江美子めし
8. 落ち葉焚き芋ほかほかに暮れなずむ
9. 十五歳サンタクロースまだ信ず
※1の句は、「花あれば西行の日とおもふべし」のパロディー。
2. 真夜中に木枯らしピープー師走かな
3. クリスマスサンタクロースの多忙な日
4. 夕餉には焼きそば決めしポロロコに
5. 湯豆腐に鱈の身入れる湯鱈腐や
6. 熱燗に肴湯豆腐しばれる夜
7. ジョイ空手僕は散歩に江美子めし
8. 落ち葉焚き芋ほかほかに暮れなずむ
9. 十五歳サンタクロースまだ信ず
※1の句は、「花あれば西行の日とおもふべし」のパロディー。

2011年12月1日木曜日
ご愁傷様
数年前に味の分からない田舎者の連中と、総勢7人でパリまで仕事で赴いた。パリに着くなり、その日のディナーは現地の日本の居酒屋。
来る日も来る日も、和食と中華料理の繰り返し。同行したボスが、アメリカかぶれのフランス嫌い。
「いやはや、たまらんわー」僕は嘆いた。
僕は本格的なフランス料理を食べたことのない者を募った。参加者は僕を含めて5人いた。
早速レストランを選んで予約した。そもそもこれが間違いの始まり、なにしろ田舎者、マナーが悪から顰蹙(ひんしゅく)を買う。英語が話せないから僕が料理の説明、給仕とのやり取り、どうでもよいことまで質問をする。酔いが回ると大きな声で話す。僕は料理を味わう暇がない。
「こんな高級なレストランや、締めくくりにお茶漬け食いたいわ、ちょと、新井さん。いつもきはるにいちゃんに聞ーてぇ~なー」
このアホが!てぃてぃてぃ!!聞くまでもない。僕は鶏冠(とさか)にきた。僕は彼をからかってやろうと思った。給仕を呼んで適当に喋った。
「お茶漬けできますってよ、糠漬けに、味噌汁もありますって」
「本当!」彼の嬉しそーうな顔。暫くたってから僕は席を離れた。
僕が席に戻ると彼に告げた。
「あいにく今日は、材料が整いませんのでできませんと言われたわ、ご愁傷様」

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